限界を超えるテクニック(ファミコンサウンド編)

前回はファミコンのグラフィック周りについて書いたので、今回は勢いでファミコンサウンド編。 サンプルサウンド付きで知られざるテクニックを紹介してみます。 といっても、PSG はぼくあんまり知らないので人より凄いことは書けません。(笑)

PSG というのは、三角波や矩形波といった簡単な音の波形にたいして、音階や音量等の情報をつけられる音源の総称で、ファミコンもこの PSG タイプの音源がのっています。

ファミコンの場合は主に、3種類の音が出せて、前述の三角波、矩形波、それにノイズをだすことができます。 基本的に三角波は 1 声、矩形波は 2 声、ノイズは 1 声を同時にだすことができます。 (ソフトによってはカセットにカスタムチップをつんでいてもう少しだせるのもある)

要は音となるものは、合計 3 声。 3和音。 シンセを片手で 3つ鍵盤おしたらおしまいという、おそるべきロースペック音源ですが、そんなことを感じさせない名曲がファミコンにはたくさんあります。

まずは三角波を聴いてみましょう。

ぽー。 この音は低くしてベースでよくつかわれる音です。 どうやらファミコンの特性上、波が綺麗な三角ではなくうねるようで、独特の響きがあります。

次はファミコンサウンドの雄、矩形波。

四角い波でおりなされる、いわばピコピコ音です。

これらはもう聴くからに電子音で、ねらってテクノでもつくらない限り、かなり耳障りな音がするわけですが、これを音楽に昇華するテクニックが無数にあります。

一番代表的なのは、形式ばった波形を”音色”にするために音量の変化をつける方法です。 たとえば、ストリングスっぽい音を出したければ、音の立ち上がりの音量を小さくして、いきなり「ぷー」とならすのではなく「ぁぁぁあぷー」(?)とならすとか。

また音のおわりも、残響音の効果をつけるためにボリュームを少しずつ落としていく。 さらにもっとエコーをかけたければ、もう1声同じ音を重ねて、残響音だけを発生させたりするとそれらしくなります。

下のサンプルは、アタック音量をおさえて、かつ2声重ねのリバーブ(残響音)効果をいれてみました。

どっかで聴いた音になりましたね。 🙂 電子音は電子音ですが、案外と耳障りではなくなったと思います。

このころのゲーム音楽はもうこういったテクニックの固まりで、作曲する人自体が、音符をかくと同時に、音源のドライバプログラムを書くこともざらにあったと聞きます。

現在のゲーム機にはもはや、PSG 音源はのっていませんが、昔を懐かしむようにチップチューンというジャンルでこの手の音をふんだんにつかった音楽を聴くことができます。

チップチューン – Wikipedia

チップチューン(chiptune) は音楽ジャンルの一種であり、おもに1980年代に発売されたパーソナルコンピュータや家庭用ゲーム機に搭載されていた内蔵音源チップに代表されるような、制約の多い音源を用いて制作される音楽、またはそうした音源の音色を意識して作られた一連の音楽を指す。

今回のサンプルは、チップチューンで有名な YMCK さんのつくられている、VSTi プラグインを使って PC で鳴らしています。

ぼくもチップチューンとか挑戦したくなるわけですが、古のテクニックをつかいこなせなくてなかなか難しいんですよー。

このへんが限界。 お後がよろしいようで。

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