Visual Studio Code Advent Calendar 2017 の 12日目の記事です。 🙂
昨日の「フロントエンド技術を導入した Java ウェブアプリケーション開発」に続きまして今日は PHP です。
実は昨年の Visual Studio Advent Calendar 2016 でも vscode-php-intellisense について書かせていただいておりましたが、2016年 12月時点ではユーザー定義関数の IntelliSense が git master ブランチ上にはあったものの未リリースの段階でした。(VS Code 側の対応待ちがあった)
1年経ちましてユーザー定義関数の補完も無事動作するようになり、また PHP パーサーが Microsoft 謹製のものに変わるなどパフォーマンスを大幅にあげ、実際のプログラミングで活用されている方も多くなったように思います。
準備
vscode-php-intellisense は、同じ作者の方が PHP 7 で実装された php-language-server が使われています。このためお使いの OS に PHP 7.0 以上が導入されている必要があります。
コマンドライン・ターミナルから php -v コマンドを実行し次のようになっていれば使い始められます。(Windows / powershell.exe の例)
PS C:\> php -v PHP 7.0.13 (cli) (built: Nov 8 2016 13:45:28) ( ZTS ) Copyright (c) 1997-2016 The PHP Group Zend Engine v3.0.0, Copyright (c) 1998-2016 Zend Technologies
OS (パス)の実行環境を変えたくないよという方は、VS Code の基本設定の次のキーに PHP 7 実行ファイルへのパスを設定してください。優先して使われるようになります。
{ "php.executablePath": "...." }
また、VS Code 内蔵の PHP サポートが有効になっていると IntelliSense が混乱しますので無効に設定してください。
{ "php.suggest.basic": false }
これにて準備完了です。 PHP プロジェクトのフォルダを VS Code で開き、いずれかの .php ファイルを開くと php-language-server が浮き上がり vscode-php-intellisense の機能が使えるようになります。
拡張の起動ログは「出力」の PHP Language Server から見ることができます(パースが完了すると IntelliSense が使えるようになります。Microsoft の PHP パーサーになってからかなり速くなりました!)
ログを確認すると分かりますが、現在のところパース対象の .php ファイルの大きさが 150000byte に制限されています。 例えば WordPress では制限容量を超えたファイルがいくつか存在し、IntelliSense の対象から外されてしまいますので、拡張のファイルを直接書き換えて対応してください。
Windows の場合
C:\Users\[ユーザー名]\.vscode-insiders\extensions\felixfbecker.php-intellisense-2.0.4\vendor\felixfbecker\language-server\src\PhpDocumentLoader.php
macOS / Linux の場合
~/.vscode-insiders/extensions/felixfbecker.php-intellisense-2.0.4/vendor/felixfbecker/language-server/src/PhpDocumentLoader.php
ソースファイルを 150000 で検索し、300000 くらいにすれば OK です。
public function load(string $uri): Promise { return coroutine(function () use ($uri) { $limit = 150000; // ここを修正します
拡張のソースファイルを直接書き換えているため、バージョンアップがあると上書きされます。(再設定してください)
設定から limit が調整できるようなプルリクが届いていますので、近い将来改善されることを期待しています。(実は結構前のプルリクで進展がないのですが… 😛
以上で拡張を使う準備完了です。
PHP IntelliSense
ユーザー定義系の補完以外は去年紹介しましたので、今年はユーザー定義系のIntelliSense を確認してみます。
WordPress プロジェクトをサンプルに、テーマをコーディングしている想定です。
add_filter は WordPress が定義するグローバル関数ですが正しく IntelliSense できています。
ちなみに PowerShell の拡張などでは次のように引数のホバーを確認しながら入力を進めことができますが、残念ながらこの動きは vscode-php-intelliSense では未実装です。(TODO に入っていますので期待です!)
と思っていたら、昨日のアップデートで実装されてしまいました!
素晴らしい…
IntelliSense 確定後はコードレンズ(定義をここに表示)でシグネチャーを確認できますので、こちらで代用すると良いと思います。
残念ながら PHP の標準関数はコードレンズできませんので、カーソルホバーで確認しましょう。 🙂
PHP は動的型付け言語ですので、完全な型参照はできなく IntelliSense の対応もある程度までになりますが、コメントアノテーションや PHP 7 の型定義で補完が効くようになります。
class Test { /** @var wpdb */ private $wpdb1; /** * @param wpdb $wpdb2 */ public function hoge($wpdb2) { $this->wpdb1->query(); // OK! $wpdb2->query(); // OK! /** @var wpdb $wpdb3 */ global $wpdb3; //$wpdb3->; 無念... } }
例にしている $wpdb は WordPress がグローバルに定義する DB のアクセサです。
- PHPDoc 付き private メンバーの $wpdb1 は補完 OK!
- PHPDoc 付きメソッドパラメーターの $wpdb2 は補完 OK!
- メソッド内のインラインコメントアノテーション $wpdb3 は補完できず
という結果でした。
ちなみに、Eclipse PDT や PhpStome ではインラインコメントアノテーションも OK です。このアノテーション方式が何かしらの規格なのかは存じ上げませんがもしかすると将来対応されるかもしれませんね。 🙂
VS Code で PHP
ここ 1年ほど PHP は全て VS Code と vscode-php-intelliSense でコーディングしましたが、VS Code の操作系ともマッチしており快適に作業を進めることが出来ました。
また、昨日紹介しましたが、VS Code は昨今のフロントエンド系の技術との親和性が高いため、PHP などのウェブアプリケーションと相性が良いです。合わせて使うと強力な相棒となってくれることと思います。