1980年代から90年にかけて家庭に広く普及した MSX パソコン(当時はマイコンと言ってましたね!)にて、ゲームをつくる活動を 2022年に復活してみました…!
当時の開発は MSX-BASIC もしくは Z80 アセンブラをつかったものでしたが、今回は さまざまな 8bit Z80 系のレトロコンピュータに対応する Z88DK ツールチェインによる C 言語を使っています。
z88dk is the only C and assembler development kit that comes ready out-of-the-box to create programs for over 100 z80-family machines.
Z88DK のセットアップやサンプルコードについては、以下の文書にまとめています。C 言語ですが、BASIC より簡単かも、、ですので良ければ遊んでみてください。この記事で紹介しているゲームのソースコードへのリンクもつけています。
Z88DK を使って MSX のゲームをつくるための環境構築メモ
この文書は、Z80 を CPU に持つコンピュータ向けの C コンパイラ・アセンブラツールチェーンである Z88DK を使って MSX のゲームをつくるための環境構築メモです。
てなわけで、この Z88DK を使いまして、新作ゲーム(?) をふたつつくってみましたので紹介したいと思います。ゲームはウェブブラウザーで動作する MSX エミュレータから楽しめますので合わせてリンクをしています。
PONPON for MSX
80年代のコンピュータ誌に投稿された PONPON という名前の投稿プログラムの MSX クローンです。自分はプログラムポシェット誌でみて打ち込んで楽しんだ覚えがあります。
自動的に上下に移動する主人公「◯氏」を赤ブロックに激突しないように左右に操作して $ を取得して点数を競うゲームです。
次のリンクからウェブブラウザで遊べます。
記憶だけを頼りにつくっていますが、この MSX 版はプログラムポシェット掲載 PC88 PONPON の “改造版” の移植です。オリジナルは 40 * 25 桁(WIDTH 40,25) でもっと綺麗に壁や赤ブロックが並んでいたと思います。
当時小学生だった自分はごちゃごちゃ改造していて、確かこのような感じになった気がします、、懐かしいです。。
NOBORUNOCA for MSX
MSX の VDP はいわゆるスクロール機能を持たず、スクロールをしたい場合は通常 VRAM ブロック転送による PSG(8ドット) 単位スクロールとなりますが、これを PCG キャラクターをドットずらしで用意することでスムーズスクロールを実装する技がありました。
当時の自分はスムーズスクロールしてみたくても、プログラミング技術もあまりなく実装を諦めており、これまで数十年間心の何処かにひっかかっていた課題のひとつだったのですが、2022年になってようやく実装することができました。
というわけで、構想数十年、製作 5日の NOBORUNOCA です。
強制縦スクロールのワンキーためジャンプアクションゲームです。使うのは SPACE キーのみ…!のぼるのか…のぼらないのか…
次のリンクからウェブブラウザで遊べます。
操作はシンプル、割と奥が深いを目指してつくってみました。ゲーム特有の落ち着けばなんとかなる…!がうまくつくれたと思いますので、良ければ遊んでみてください…!(ツイッター #NOBORUNOCA タグでみなさまのハイスコアを拝見しております… 😀
裏技的な攻略情報がいくつかあるので書いておきます。
- 足場生成に関わるゲームの乱数シードはタイトル画面のパワーゲージ値によります。
- レベルエクステンド時に、必ず穴がない休憩足場が生成されます。
- ジャンプ上昇中、ジャンプ落下、歩き落下中もパワーゲージがチャージできます。
- 落下中から、着地前直前十数フレームで、その場再ジャンプが可能な猶予フレームがあります。これは足場がない最下段でも適用可能なので、目押しスペース離しで復活できることがあります。また、成立するとボーナス点が入ってます。
- ジャンプ落下中は足場判定が横に広がっています。このため左右の縦壁でも再ジャンプ可能なパターンがあります。
いろいろ実装していましたら、当時の BASIC ゲームも面白くなるようにいろいろ調整して楽しんでいたことを思い出してノスタルジー。
ゲームミュージック
マイコンゲームに音楽をつけるのも当時の課題のひとつで、サウンドドライバー問題とシーケンサーどうする問題がありましたが、今回 @aburi6800 さん の MSX Z80 サウンドドライバーと、いちまるまるゲームズさんの、Lovely Composer & あぶり6800さんコンバータにより、見事、課題解決することができました…!
ありがとうございました…!
家庭用ゲーム機の作曲ソフトの方向性を受け継いだ、かわいい作曲ツール!
レトロゲームのようなピコピコサウンドの音楽や効果音を、楽しく手軽に作れます。
https://github.com/aburi6800/msx-PSGSoundDriver
MSX用のPSGサウンドドライバです。
z88dkのz80asmでコンパイルできる形にしています。
楽曲は YAMAHA MODX シンセで曲のスケッチをかいて、Lovely Composer に打ち込む形で楽曲をつくり、lc2asm コンバータでゲームに取り込む手法でつくっています。
今回は MSX 向けで矩形波 2/3ch だけの打ち込みとしていますが、Lovely Composer は矩形波以外も波形メモリ音源的な音などなどピコピコサウンドを手軽なプリセットと操作系で使え楽しいです。:D
MSX ゲーム取り込み前には、YM2149 での鳴り具合を確認するために、自分が以前からつくっていました WebAssembly の ymfm エミュレータを Python からコールして、サウンドドライバー互換で発音させるスクリプトも利用しています。
https://github.com/h1romas4/noborunoca/tree/main/tools/lcconv
楽曲のほうですが、自分は音楽の方が楽器は持っているもののほとんど素人ですが、、レトロっぽいコミカルさが出るように、少ない小節数にすると心に決め、メロディーのリズムに気をつけてかきました。
密かにちょっと気に入っていますので良ければ聴いてみてください…!
最後に
残念ながら手元に MSX 実機がないためまだ実機動作を自分で見れていないのですが、Simple ROM Cartridge を使わせていただいて、いつか動作させたい…!夢の ROM 版ゲーム…
ちなみに PONPON は 16KB で NOBORUNCA はほんの少しだけはみ出て 32KB ROM になっています。
書き込み準備ヨシ…!(ちなみに写っている PSP 版は fMSX エミュレータによる動作です)
ゲームのソースコード
両ゲームとも GitHub Actions で ROM のビルドができるように仕込んでいます。また、リリースページに .rom
ファイルを置いています。
PONPON
NOBORUNOCA