オープンソースカンファレンス北海道 2014 WordPress & baserCMS セミナー

2014/6/21(土) に開催されたオープンソースカンファレンス北海道にて、WordPress と baserCMS のセミナー & ブース出展を行ってきました!

oscdo-2014-04

今年はSaCSS(sapporo.css)ブースも加わり、メンバーのみなさまのご協力のもと、無事終了することが出来ました。ありがとうございました。

baserCMS ブースには、福岡より海老庵さんも! baser に興味を持っていただいた方の質問にたくさん答えてくださいました。(さすが)

マリメロちゃん製作のわぷーと、コモモさん製作のべっしーのかぶりものにより、いつにもましてブースも華やか(!?)に。 OSC らしい演出で良かったです。 😀

ひろましゃ

カリスマプログラマー

WordPress セミナー

ショッピングカートのサンプルテーマを使って、カスタムフィールドやカスタム投稿、フィルターフックの使いどころなどを、スクリーンキャストで実際にカーソルを動かしながら紹介しました。

ひろましゃ

ひろましゃ

テーマの名前は wordCart。 実は baserCMS でつくった baserCart を OSC のために WordPress に移植したものです。

wordcart-01 wordcart-02

スクリーンキャストを使っている関係上、スライドだけだと意味不明なので、ここでは fucntions.php のコード断片を紹介しておきます。

商品の入れ物となるカスタム投稿と、カスタム分類の作成。

/**
 * カスタム投稿、カスタム分類タイプを追加.
 */
add_action('init', function () {
    register_taxonomy('item_tag',
        array('item'),
        array(
            'label' => '商品タグ',
            'show_ui' => true,
            'hierarchical' => true,
            'rewrite' => array('slug' => 'item/category', 'with_front' => false)
        )
    );
    register_post_type('item', array(
        'label' => '商品',
        'public' => true,
        'menu_position' => 5,
        'supports' => array(
            'title', 'editor', 'thumbnail', 'custom-fields'),
        'has_archive' => true,
        'rewrite' => array('slug' => 'item', 'with_front' => false)
    ));
});

商品に添付されたメディア(画像)をテンプレートファイルから取得する関数。

/**
 * 記事に添付された画像を取得.
 */
function the_images() {
    $images = get_children(array(
            'post_parent' => get_the_ID(),
            'post_type' => 'attachment',
            'post_mime_type' => 'image',
            'order' => 'ASC'));
    $img = array();
    foreach(array_keys($images) as $key) {
        array_push($img, wp_get_attachment_image($key, 'full'));
    }
    return array_reverse($img);
}

投稿ページを固定ページに割り当て、フロントページにカスタム投稿のアーカイブを出力するための pre_get_posts フィルターフック。

/**
 * フロントページに商品の一覧を表示.
 */
add_filter('pre_get_posts', function($wp_query) {
    // 管理画面かメインループではなかったら何もしない
    if(is_admin() || !$wp_query->is_main_query()) {
        return;
    }
    // フロントページなら投稿タイプ・商品を表示
    if($wp_query->is_home() && $wp_query->get('pagename') == '') {
        $wp_query->set('post_type', 'item');
    }
});

フロントページでカスタム分類アーカイブと同じテンプレートファイル(taxonomy.php)を使うために、選択されるテンプレートファイルを変更するための template_include フィルターフック。

/**
 * フロントページのテンプレートファイルは taxonomy.php.
 */
add_filter('template_include', function($template) {
    global $wp_query;
    if($wp_query->is_home() && $wp_query->get('pagename') == '') {
        return get_taxonomy_template();
    }
    return $template;
});

各商品の下に Trust Form プラグインで作成したフォームを配置するための、the_content フィルターフック。

/**
 * カスタム投稿・商品の時は注文フォームを記事の下に付与する.
 */
add_filter('the_content', function($content) {
    if(get_post_type() == 'item') {
        return $content . '
<hr />

[trust-form id=10]';
    }
    return $content;
}, 0);

今年は少し製作よりの内容とさせていただいたのですが、セミナーで伺ってみたところ、来られた方の半数以上 WordPress 製作を行われている方とのことで、実際にサイトを作る際のヒントになりましたら嬉しく思います。

baserCMS セミナー

baserCMS セミナーでは、スライドとスクリーンキャストで baserCMS の特徴を説明させていただきました。

スクリーンキャストなしだと短いですが、端的に baser の特徴が分かると思いますので、よければご覧ください。(スライドシェアにアップロードしたら、すごいフォントになったですが、ノリでご覧ください。。)

前日までの数十時間におよぶ準備や、WordPress から2コマ連続セミナーだったのもあり、途中から放心にて事前録画のスクリーンキャストの内容を忘れてしまい、ぐだぐだになってすいません。。セミナー後に途中からしにそうになっていたと聞きました。。

それでもセミナー後にブースにいくつも質問をいただいたり、アンケートで面白かったと書いてくださった方がいてくれたりで嬉しかったです! ありがとうございました。

OSC北海道 2014 大懇親会

終了後の大懇親会は、アサヒビール園にてジンギスカンパーティー 😀

oscdo-2014-02

後ろにいるのは…!!w

OSC運営スタッフのみなさま、お疲れ様でした!

翌日

OSC北海道の翌日は、海老庵さん、モリコ、マリメロ、コモモで美瑛・富良野観光へ。 🙂

oscdo-2014-03

ジェットコースターロードすごい。

来年のOSCも楽しみです。

WordOnsen Sapporo 2014 と pre_get_posts による記事のソート処理

5/17 〜 5/18 に WordOnsen Sapporo 2014 が開催されました。定山渓温泉にてゆったり WordPress の勉強会という企画であります。 🙂

sacss_wordOnsen_560160

セミナー講師を担当させていただきましたが、温泉ということでいつもの SaCSS の勉強会と趣を変えようかと、モニターにコードを映しながら、お題を「functions.php を使い、pre_get_posts フックを用いてカスタム投稿をソートする」と決めてライブコーディングする形式でしゃべらせて頂きました。

134_large

東京から来られましたまがりん様に相談しながら、ライブコーディングしていたら夢中になってしまい、気がついたら 90分も演っていたということで、すいませんすいません。。(←本人はとても楽しかったらしい…

ということで、申し訳ないので、このブログにてソースなどまとめてみたいと思います。 お役立ていただけたらと思います。

functions.php について

  • functions.php は WordPress の初期化後すぐに評価されるテーマ内のファイル。
  • functions.php にフックの追加処理を記述しておくことにより、WordPress 初期化後に実行されるメイン処理の挙動をテーマから変更することができる。
  • WordPress には処理の変更が行えるように、たくさんのフックが定義されている。
  • 今回はテンプレートファイルのループで出力される記事の抽出条件を変えることができる pre_get_posts フックを活用して、カスタムフィールドの値で記事の順番をソートすることをお題としました。

フィルターフックの基本形

add_filterに関数名(ここでは change_query)を設定する。

function change_query($query) {
    $query->set('posts_per_page', 1);
}

add_filter('pre_get_posts', 'change_query');

PHP 5.3 以降では無名関数が利用でき、フックが関数定義なしでかけるので、直感的で便利。(以下のコードはこの形式でかきます)

add_filter('pre_get_posts', function($query) {
    $query->set('posts_per_page', 1);
});

pre_get_posts フィルターフックによるメインクエリー改変

pre_get_posts フックから渡されてくる引数($queryオブジェクト)に set メソッドでパラメータを上書き設定すると記事の抽出条件が変更ができる。

例えば posts_per_page パラメータには出力する記事数が設定できる。

add_filter('pre_get_posts', function($query) {
    // var_dump($query);
    $query->set('posts_per_page', 1);
});

存在するパラメータは Codex の WP_Query をみるか、var_dump($query); をすると知ることができる。

pre_get_posts で改変できるクエリーは、サイト上の表示だけでなく WordPress の管理画面の一覧表示などでも使われるため、テンプレートファイルからのメインクエリー出力時のみ変更するように、次のような if で条件を絞る。

add_filter('pre_get_posts', function($query) {
    if(!is_admin() && $query->is_main_query()) {
        $query->set('posts_per_page', 1);
    }
});

pre_get_posts を使ったカスタムフィールド値でのソート処理

サイト上に配置された「昇順」「降順」などのリンククリックから、記事をカスタムフィールドに設定された値でソートを行う。例えば、カスタムフィールド PRICE に設定された値段で、商品の表示順をソートする場合。

商品を登録するカスタム投稿(post_menu)を定義。

add_action('init', function() {
    register_post_type('post_menu', array(
        // 管理画面ラベル名
        'label' => '商品',
        'public' => true,
        'supports' => array(
            'title', 'editor', 'thumbnail', 'custom-fields'
        ),
    ))
});

「昇順」「降順」のリンクとアーカイブページを作成するため、カスタム分類(sort)を定義。

add_action('init', function() {
    register_taxonomy('sort',
        // この分類はカスタム投稿 post_menu に属する
        array('post_menu'),
        array(
            // 管理画面ラベル名
            'label' => 'ソート',
            // 管理画面に表示する
            'show_ui' => true,
        )
    );
});

カスタム分類ができたら、「昇順」「降順」という分類を管理画面から登録し、スラッグをそれぞれ asc と desc に設定。(設定後、このカスタム分類は管理画面上に表示しなくてもよいため、show_ui を false にしてもOK)

functions.php でカスタム投稿・分類の設定を行った後は、管理画面から「パーマリンク」を一度ひらいてあげて、設定をリフレッシュしましょう。(←現地でわすれてまがりん様につっこまれる)

サイト上にカスタム分類(sort)のリンクを出力するため、テーマのテンプレートファイルに wp_list_categories テンプレートタグを配置。この分類には記事が属せず、そのままだとリンクが出力されないため、hide_empty を false に設定。(← true にしようとしてまがりん様につっこまれる)

<?php wp_list_categories(array(
    'title_li' => '',
    'taxonomy' => 'sort',
    'hide_empty' => false )); ?>

「昇順」「降順」リンクがサイトに出力されるも、そのままのクエリーだと、単純に分類に属する記事を抽出しようとするので、何もでてこない。

ここで pre_get_posts の出番。クエリーを改変し、「カスタム分類 sort 出力時は、カスタム投稿(post_menu)に属している記事」という条件にまずは変更。$query が持つ条件分岐タグ is_tax でクエリー改変条件を絞り込み。

add_filter('pre_get_posts', function($query) {
    // メインクエリーでカスタム分類 sort 時のクエリーを変更
    if(!is_admin() && $query->is_main_query() && $query->is_tax('sort')) {
        // カスタム投稿 post_menu の記事を抽出対象にする
        $query->set('post_type', 'post_menu');
        // カスタム分類 sort による抽出を削除してしまう
        $query->set('sort', '');
    }
});

この処理で「昇順」「降順」リンクをクリックで表示されるカスタム分類アーカイブページで、商品が日付順で出力されるようになる(まだどちらのリンクも同じ抽出結果)。

カスタムフィールド PRICE によるソート処理を追加。

add_filter('pre_get_posts', function($query) {
    // メインクエリーでカスタム分類 sort 時のクエリーを変更
    if(!is_admin() && $query->is_main_query() && $query->is_tax('sort')) {
        // カスタム投稿 post_menu の記事を抽出対象にする
        $query->set('post_type', 'post_menu');
        // カスタムフィールド PRICE でソートするようにクエリーを設定
        $query->set('meta_key', 'PRICE');
        $query->set('orderby', 'meta_value_num');
        // 押されたリンクにより昇順か降順のソートをクエリーに設定
        if($query->get('sort') == 'asc') {
            $query->set('order', 'ASC');
        } else {
            $query->set('order', 'DESC');
        }
        // カスタム分類 sort による抽出を削除してしまう
        $query->set('sort', '');
    }
});

これにて完成です。 🙂

まとめると、カスタム分類 sort を作成することにより、カスタム分類アーカイブページの URL(クエリー)を WordPress 上に作成し、リンククリック時のクエリーを pre_get_posts により改変しカスタムフィールドでソートするという合わせ技となります。

この方法は、アーカイブページのクエリーに相乗りすることでページネーションも普通に行うことができますので、便利なのではないかと思います。

なお、セミナー中でも少しふれましたが、カスタムフィールドを使ったソートは、WP_Query で対応しているものの、WordPress の実装上、DB インデックスがあたらなかったり、value カラムが varchar になっている関係もあり、表示速度はそれほど期待できません。 記事が多いサイトで利用する場合は、事前に速度をテストしたり、もし遅い場合は、キャッシュ系の技術を併用するなどの対策を行ってください。

というわけで、WordOnsen Sapporo はセミナー後、開発合宿及び懇親会に突入。

まがりん様がもくもくと Stop the Bokettch のバージョンをあげ、マリメロ様が wp-otenki のカスタムお天気画像をつくり、気がつけばマミリンがぐーすか寝ているなど、盛り上がりをみせておりました。

71_large

翌日は円山公園散策。まがりん様のリス写真。

健康的! 楽しかったです(^ ^アリガトー

baserCMS テーマの github 公開と Gradle による Sass ビルド

baserCMS テーマコンテスト受賞作品の「Cafe Debut」と「basercart」テーマのソースコードを github に公開しました。 🙂

h1romas4/basercart

basercart

h1romas4/cafedebut

cafedebut

普通に baserCMS に導入してみたい方は、baserマーケットから .zip をダウンロードしていただければと思います。「Cafe Debut」は先日 baserCMS 3.0.4 に対応され、プラグイン同梱機能や、新しいコーディングスタンダードに対応した新板になっています。(調整していただきまして、どうもありがとうございました!)

今回公開した github のソースコードは、テーマの修正や開発用を想定したものです。

basercart のソースツリーには開発時に用いた sass ファイルと、gradle によるビルド定義を加えています。( .sass ファイルウォッチから .css への自動コンパイルができるように準備しています)

本テーマの製作時は grunt で sass のコンパイルを行っていたのですが、nodejs や Ruby の環境を導入したり、それらのバージョンを開発メンバー間で合わせたりするのが大変と感じましたので、github 公開版ではビルダーを Gradle に変更しました。

Gradle はウェブ制作の方にはあまり馴染みがないかとは思いますが、最近の Java 界隈で良く採用されているビルドツールです。ここでは、grunt と同じようなタスクランナーとして考えてもらって良いと思います。

Gradle が依存するのは Java の環境だけですので、Windows、Mac、Linux ともにほとんど準備なしに(Java が入ってなければ入れるだけ、nodejs や Ruby、各周辺ツールの導入なしに)動作させられ、いつでもポータブルに同一の結果が得られるのが、grunt から変更したポイントになります。

github に公開されているソースには Gradle から生成できる gradlew と呼ばれる Gradle 自体の環境を自動で準備するラッパープログラムもコミットされています。なので事前に Gradle を導入することすら不要です。

というわけで、github から git clone するか .zip をダウンロードしていただいた後、./gradlew watch するだけで .sass のウォッチ・ビルドが開始できます。(初回起動時のみ、環境をオートでつくるため時間が少々かかります)

cd basercart
./gradlew watch
#Windows の場合は、gradlew.bat watch

簡単あるね。 🙂

build.gradle では、次のプラグインを使わせて頂いています。

A SASS / Compass plugin for Gradle は、JRuby を用いて gem の取得や処理を行い、Sass / Compass のコンパイルを行います。この動きにより、ビルドを行う PC には事前に Ruby の導入が不要になる仕掛けになっています。

その他にも同様な動きで Java に含まれる JavaScript の実装(Rhino)を用い、CoffeeScript をコンパイルするプラグインもあるようです。(TypeScript も同じ実装、早くでないかなぁ。Nashorn だと面白そう :))

Gradle Watch Plugin は Java の NIO を用いて、各 OS のファイル監視 API からの通知を元に変更時のタスクが定義できます。(ちなみに、A SASS / Compass plugin だけでも watch はできそうでした)

Gradle の build.gradle 定義は、Groovy が持つ AST 変換や各種シンタックスシュガーなどの効果で、非常に簡潔にかくことができます。 これに慣れてしまうと、JS の (function() { }) とか .pipe(“”) などがずいぶん冗長に見えてしまいますね。 😛

というわけで、ウェブ制作にも Gradle いかがでしょうか。配布先に環境をつくらなくてよいのは、大きなメリットのように思います。

ちなみに、あんまり関係ないですが Groovy 版 Ruby on Rails の新板である Grails 2.3 からは同梱される Asset Pipeline Plugin により sass、less、coffeescript が標準サポートされるようです。ごくり。

ぐる。