Visual Studio Live Share の活用

Visual Studio Code Advent Calendar 2018 の 16日目です。 🙂

今年もいろいろな分野で活躍してくれた VS Code でしたが、拡張として提供されている Visual Studio Live Share にもずいぶん助けられました。

Visual Studio Live Share は自分の Visual Studio から他の Visual Studio に接続してコード編集することを基本とするコラボレーション用の拡張です。ソースコード以外にも相手ホストのいろいろな機能に接続することができます。

  • ランゲージサーバーへの接続(相手の環境を使ってコード補完ができる)
  • プロジェクトファイル全体の grep 検索
  • 任意のポートにブラウザで接続
  • ターミナルに接続
  • デバッグ実行

自分の環境にソースコードや実行環境を持っていない状態でも、相手の環境を使って簡単にプログラミングを開始することが可能で、相手の環境で発生している不具合を手元で再現させながら修正するといったことが数分の準備で簡単に行えます。

接続はインターネット上に配置された Micsoroft の Live Share サーバーを介して行いますので、残念ながらクローズドな LAN 環境では使うことができませんが、代わりにルーターのポート開放など難しい設定なしに、どんな場所にいても機能を使うことが出来ます。

またクロスプラットフォームにも対応していますので、Windows から macOS に接続して動作させるようなことも可能です。ということで、いくつかの例を紹介してみたいと思います。

ランゲージサーバーとコンソール接続

Rust を編集している Linux をホストに Windows ゲストから接続して、Linux 上にあるソースコードと Rust Language Server に接続してみたところです。

補完も定義表示も相手の環境のものを使っていい感じに動作します。

Windows から Linux への bash の接続も OK で、ショートカットキーや Powerline の制御文字などもそのまま転送してくれます。相手の環境のコマンドがそのまま打てますので、Windows 側からビルドなんかもすることができます。すごい。

デバッガーへのアタッチ

ホスト側で起動したデバッガーにアタッチして、ゲストからステップオーバーやウォッチなどの操作をすることができます。 Linux / Rust / LLDB ホスト環境に Windows ゲストからアタッチした図です。

デバッグコンソールなども転送されてきます。

たとえば、Windows で動く LLDB を準備するのはちょっと大変ですが、このように Linux に接続できると簡単に環境を揃えることができます。(残念ながらゲスト側からデバッグの実行構成を起動することができませんでした。”The host doesn’t allow starting the debugger.” と言われてしまうので何かできそうな気がするのですが、引き続き調査してみます)

任意のポートにブラウザから接続

ウェブ開発をしている時に大きな力を発揮するのが、サーバーへのポート開放です。

今度は Windows で動作している Java ウェブアプリ環境に、macOS から接続してみます。Windows ホストに macOS ゲストから接続した上で、Live Share の Share Server を選択して、開けるポートを “localhost:8080” のように指定します。(この例は SpringBoot アプリケーションなので 8080 で起動します)

あとは macOS ゲスト側のブラウザから http://localhost:8080/ にアクセスするだけです。(localhost なのが不思議な感じですが VS Code がプロキシーして、ホストに接続してくれます)

macOS から Windows のターミナル(Powershell)に接続することもできますので、gradle を動かしてアプリケーションの起動停止をするようなこともでき、ソースコードを編集しながら、ブラウザで動作確認といったことがリモートで簡単にできるようになっています。

今年はお隣におられる方の環境につないでプログラムを修正したり、一番遠くは北海道・福岡間でプログラムの修正を行ったりしました。

特に不具合の修正では、それを手元で再現させる環境をつくるまでに時間がかかるものですが、VS Live Share を使えば不具合が起きている環境に接続してすぐ修正を開始することができます。(これができなかったら修正箇所が分らなかったのではないかということもありました。

VS Code はそれ自体の導入も手軽ですので、そのようなシチュエーションに出会ったら試してみてはいかがでしょうか。

あ、ひとつまえのポストも VS Code ネタですのでよければご一緒にどうぞ。。

AsciidoctorとGradleでつくる文書執筆環境

技術文書を書く環境が欲しくなり、VS Code と Gradle を使って Asciidoc 文書を執筆する環境を整えてみました。 お手軽に構成できて、300ペジくらいの文書でも耐えられそうです。

てなわけでまた来年もよろしくお願いいたします。。 🙂

AsciidoctorとGradleでつくる文書執筆環境

技術文書を書く環境が欲しくなり、VS Code と Gradle を使って Asciidoc 文書を執筆する環境を整えてみました。 お手軽に構成できて、300ページくらいの文書でも耐えられそうです。 🙂

VS Code でリアルタイムプレビューしながら Asciidoc 文書を執筆し、最後に HTML/PDF 文書にすることができように仕込んだ Gradle ビルド、フォントや CJK パッチ、.vscode 設定などをパッケージして github で公開しています。

https://h1romas4.github.io/asciidoctor-gradle-template/index.html

本文書は Asciidoc とその Ruby による実装である Asciidoctor を用いて Asciidoc 文書を執筆する環境を構築する手順を示します。実行環境は Windows、Linux、macOS の各 OS に対応しています。

上記のサイト(Asciidoc 文書のサンプルになっています)で詳しく手順を書いていますが、基本的にリポジトリを取得し、文書を書いて、 ./gradlew docs するだけでいい感じに Asciidoc を HTML/PDF 文書に変換して公開できるようになっています。

PDF 文書は次のようなものが出力されます。

AsciidoctorとGradleでつくる文書執筆環境(PDF版)

https://h1romas4.github.io/asciidoctor-gradle-template/index.pdf

PDF に関しては本文フォントを明朝体にできるとより技術書らしくなると思うのですが、残念ながら prawnpdf ライブラリが OpenType に対応していないため導入を断念しました。(リポジトリの方では .ttf の 源様明朝 を導入しました)

しかし、対応は進んでいるようなので期待します。

https://github.com/prawnpdf/ttfunk/issues/53

Hey there maintainers! I’ve been working for the last several months on supporting OpenType fonts, which really just means supporting the CFF font table.

さて、今回このプロジェクトを作成するにあたり初めて Asciidoc の書式を全て確認しましたが、表現力が高く、思ったことは思った通り書けばよい感じなのでお気に入りました。 😀

(2020/4/17 更新) Qiita に最新の Gradle 定義で記事を書きました。

AsciidoctorとGradleでつくる文書執筆環境 v2

asciidoctor-gradle-pluginを活用して Asciidoc 形式の文書を Gradle を使って簡単に HTML/PDF 文書に変換できるビルドテンプレートをつくってみました。

リポジトリを github に置けば Github Pages ですぐ綺麗な文書を公開できるようになりますので、良ければお試しください!

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Alacritty 高速ターミナルエミュレーター

Rust 方面で気になっていた高速ターミナルエミュレーターである Alacritty を Ubuntu 18.10 にて試してみました。

まだ alpha levelとのことですが、2日ほど使い続けてみましたが不具合もなく、むしろ速くてとても快適でしたので常用させていただいております。:)

https://github.com/jwilm/alacritty

Alacritty is the fastest terminal emulator in existence. Using the GPU forrendering enables optimizations that simply aren’t possible in other emulators.Alacritty currently supports macOS and Linux, and Windows.

サイトに導入手順がありますが、Ubuntu の場合はライブラリ依存関係と Rust のツールチェインを入れビルドをかけると .deb が作成されパッケージとしてインストール・することができます。

Rust ツールチェインの導入

https://rustup.rs/

curl https://sh.rustup.rs -sSf | sh

依存関係の導入

https://github.com/jwilm/alacritty/blob/master/INSTALL.md#debianubuntu

apt-get install cmake libfreetype6-dev libfontconfig1-dev xclip

Alacritty のビルドとインストール

https://github.com/jwilm/alacritty#debianubuntu

git clone https://github.com/jwilm/alacritty.git
cd alacritty
cargo install cargo-deb
cargo deb --install

起動すると設定ファイルが、$HOME/.config/alacritty/alacritty.yaml として作成されますので、画面サイズやフォントの設定をします。自分はプロンプトなどに Powerline を使っていますのでフォントの指定を Ricty Diminished w/ Powerline patched に変更しました。

font:
  # Normal (roman) font face
  normal:
    family: Ricty Diminished Discord for Powerline
    # The `style` can be specified to pick a specific face.
    # style: Regular

ということで起動してみると、、

フォントずれも発生せず日本語環境でもいい感じに動作しました!

IM による漢字入力についてはまだインライン入力ができないようですが、カーソル位置の適切な場所に吹き出し形式でインサートすることができますので、大量に日本語を入力しない限り違和感はないと感じました。

マウスエミュレーションも動作し、スクリーンショットのように tmux を動作させるとペインの移動やスクロールなどがマウスで行うことができます。

tmux(アプリケーション)にマウスを奪わせたくない場合は、一般的なターミナルエミュレーターのアサインと同様 Shift キーを押しながらマウス操作すればOKです。また OS に対するコピーアンドペーストは、Shift + Ctrl + c や v などが使えます。

検証もかねまして 2日ほどがちゃがちゃいじってみましたが、不具合を起こすこともなく快適に動作しています。すごい 🙂

(画面を覆い尽くす)Ctrl + Enter のフルスクリーンモードがあれば自分的には完璧だったのですが、issue も上がっていましたので少し経てば実装されるものと思います。

Alacritty は Windows 版も開発が進んでおり先日起動が成功したようです。

ためにし WSL(bash on Windows)で試したところ、マウスエミュレーションが動作しませんでしたが、かなり動き始めているようです。(残念ながら IM による日本語入力窓はへんな位置にポップアップしてしまいました)

Windows 上の Alacritty で WSL を起動する場合は $HOME\alacritty.yaml のシェルの指定を次のようにします。

shell:
  program: "C:\\Windows\\sysnative\\bash.exe"

Rust でつくられているということで高速で強固。自分は Rust の勉強中にてソースコードもかなり参考になりそうです。継続してウォッチしていきたいと思います。 🙂

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